月は東に日は西に−−シアトル編

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本日は中秋の名月。これをシアトル(カークランド)で目撃しました。カークランドのfishcafeで、シアトル湾の黄昏を眺めながら夕食を頂いているちょうどその時、ふっと東の方向を見上げると、大きな大きな十三夜月。まさに月は東に日は西にです。

が、ちょっと待った。何かおかしい。何かおかしい、けれど何がおかしい。そうか、月の形が違う。十三夜月だから満月でないのは当たり前ですが、それでも月の形が違う。どう違うかというと、欠けている部分の輪郭がちょうど丸大根のへたを切ったような形で、普段見ている丸い切り口と丸さかげんが微妙に違う。考えてみれば緯度的には日本で言えば樺太くらいの位置で見ていることになるのだから、当たり前と言えば当たり前のことでした。

ここでなぜか突然、ニュートンの万有引力発見のお話し。

高校時代と予備校の入学式で、二回とも全く同じ内容の話しを、確か京大の小堀憲教授だったと思うのですが、先生から聞かされました。このニュートンの逸話を題材にした話しで、高校生の時聞いた時はふっーんだけでお終いでした。それが、予備校で聞いた時は、やっと理解したその話しの意味のすごさに、その時の情景が今でもありありと筆者の脳裏によみがえってきます。

夕暮れ時、ニュートンは、リンゴ園で思索に耽っていました。まわりが暗くなってそろそろ引き上げようとしたその時、リンゴの実がぼとっと落ちました。これを見たことでニュートンは万有引力を発見したと言われるけれど、それは違うと先生は言ったのです。ニュートンはしょっちゅうリンゴ園で夕方遅くまで思索をしていて、落ちるリンゴは何度も目撃していたのだと。ただ、その日は違っていました。リンゴが落ちた時、そのリンゴのあった東の空に、まん丸の中秋の名月が浮かんでいたと言うのです。

月とすっぽん。同じ丸でもえらい違い。月とリンゴ。同じ丸でも、一方が空に浮かんで一方が落ちる。なんで。この疑問こそ、万有引力の法則の発見につながるのだと先生は教えてくれたのです。これこそ学問を志す者の心得であると教えてくれたのです。大学受験に失敗し追いつめられ、心を閉ざしていた筆者は、この先生のお話で、また夢を目指せと、心を解き放つことができたのでした。

カークランドの十三夜月を見て、この瞬間を思い出しました。 KAI