ジョブズはなぜ人の胸を打つのか?

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それは彼が、優れて偉大なる真の「教育者」であったからであります。

先生、先生はなんでこんなに面白いんですか?この秘密を教えてくれるまで僕は家に帰りません。
教育論(2)

つい先だってからジョブズも引き合いに出して、この「教育者論」を展開していたのでありますが、「教育者」の本質は「利他」にあるのであります。

「利他の心」こそが子どもを幸せにする

著者は、国語の「授業名人」と呼ばれ、50年以上教育現場で仕事を続ける、教育界のカリスマにして、プロ中のプロ。74歳の現在も大学の教壇に立ち、全国の研究会、講演会に引っぱりだこです。
本書は、「不断に学びつつ幸福に生きるために、いちばん大切なものは何か」、「人を教える者に必須の条件とは何か」等、教育と生涯学習の根本・本質・原点を真正面から問い直す、著者渾身の一冊。
「正論を自信を持って断言できる」大人が絶滅寸前の昨今、著者が堂々と展開する背筋の伸びた正論には、読んでいて快さを感じます。
中でも、「良き人生観とは、利他の心に尽きる」と明確に定義し、「手に入れたものはすべて失い、与えたものだけが残る」と語る「よき人生観の確立を」の章は圧巻。長い人生経験に基づいた珠玉の言葉の数々は、我々が自らの足元を見つめなおすべきこの世相の中でこそ、いっそう輝くものでしょう。
利他の教育実践哲学、小学館、野口芳宏、2010/7/20

ジョブズにとって、死の病をして彼を真の「教育者」に変えたのであります。

 今から1年ほど前、私は癌と診断されました。 朝の7時半にスキャンを受けたところ、私のすい臓にクッキリと腫瘍が映っていたんですね。私はその時まで、すい臓が何かも知らなかった。

 医師たちは私に言いました。これは治療不能な癌の種別である、ほぼ断定していいと。生きて3ヶ月から6ヶ月、それ以上の寿命は望めないだろう、と。主治医は家に帰って仕事を片付けるよう、私に助言しました。これは医師の世界では「死に支度をしろ」という意味のコード(符牒)です。
スタンフォード講演録より、翻訳 市村佐登美)

このスタンフォード大卒業式での感動のスピーチが2005年。と言うことは、ガンとわかったのは2004年。爾来7年間、闘病生活のすべてを、彼は与え続けることに専心したのであります。

伝説となったこのスピーチを始めとした数々のメッセージ、iPhone、iPadと言う製品だけではない、iOSアプリと言う巨大マーケットの創出、電子出版市場の再定義と、ジョブズは、私たち「学習者」の目の前で「奇術」がごとく次々と「与え」続けてきたのであります。

先生、先生はなんでこんなに面白いんですか?この秘密を教えてくれるまで僕は家に帰りません。
教育論(2)

僕たちはもう、ジョブズがいなくなって、家に帰ることができなくなってしまった。

しかし、この秘密は、すでに彼は教えてくれていたのであります。

最後に、スタンフォード大学の卒業式でジョブズから贈られたスピーチより、一文を抜粋したい。

“その他大勢の意見の雑音に自分の内なる声、心、直感を掻き消されないことです。自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが何か、もうとっくの昔に知っているんだ。だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。”..
ジョブズが示してくれる巨大システムへの教訓 - 村井愛子

「自分の内なる声、心、直感を信じよ」

「もうとっくの昔に知っている」

ジョブズは私たちに、「予知能力」と言うライトセイバー(心の剣)をとっくの昔から授けて、そしてこの使い方までを命をかけ伝授していたのでありました。 KAI