なぜ、ジャパンオープンで錦織圭は、準決勝で敗退したのか?(2)

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いま、ATPワールドツアーファイナル、バブリンカ対ナダル戦を観戦中に、なぜ錦織がトップ4に勝てなくなってしまったのか、これがやっとわかった。

と、その前に、ATPワールドツアーファイナルとは、世界のトッププレイヤーによるテニスの世界選手権、今年最後のトップ8による選手権であります。

錦織は、このファイナルになんとかNo.8で、昨年に続いて参加できたのでありますが、残念ながら大会初戦の対ジョコビッチ戦、6-1、6-1の、ストレート負けを喫したのであります。

昨年の全米オープン、錦織はこのジョコビッチに対して、6-4、1-6、7-6(4)、6-3で勝ち、見事決勝進出を果たしたのであります。

しかしながら、このジョコビッチに対する勝利を最後に、錦織はトップ4に勝てなくなってしまった。

もちろん、ツアーには何度か優勝するのでありますが、トップ4が出場する大会に、ことごとく勝てなくなってしまったのであります。

その結果、一時はあったATPランキング4位が、8位に急落。

その明確な理由が、いまやっとわかったのであります。

なんと、いま目の前に戦っている、ナダルがそれを教えてくれた。

それは、ベースラインプレイであります。

あの、ベースラインのずっと後ろでプレイして、コートを左右に走り回っていた、あの、ナダルがであります。いま、ベースラインでライジングボールを打ちまくっているのであります。

このプレイこそ、実は、錦織が2014年全米オープン準決勝でジョコビッチを破った理由であったのであります。

そうです、この準決勝の試合を見て、ジョコビッチはもちろん、ナダルまでもがそのプレイスタイルを変えてきたのであります。

これこそ、ベースラインテニスとも言われる、ベースラインぎりぎりでストロークを打つテニスであります。

 ハイライトは世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)を破った準決勝だ。2人の立ち位置が違った。ベースラインから2.5メートルもさがっているジョコビッチに対し、錦織はほぼベースライン上。これが動き回る距離の差になる。1ポイントとるために動いた距離は、錦織の 8.42メートルに対して、ジョコビッチは10.43メートルだった。消耗度が大きく違う。
「立ち位置」にあった錦織圭の強さ!ベースラインぎりぎりから素早い打ち返し...戸惑う相手
もちろん、みんながみな、ベースラインぎりぎりまで前に出て打つようになったわけではありませんが、明らかにみな、前に出て打ち始めたのであります。

これで錦織は、一挙に優位を失ってしまったのであります。

もう少し具体的に申しあげますならば、ベースラインテニスの優位とは、ベースラインの位置でボールを返すことにより、タイミングが一挙に劣勢から優位に立てることなのであります。

ところが、相手も同じ戦略で来はじめるとどうなるか。

そうです、自分もまた同じ立場に立たされることになるのであります。

ここからは、前回ここで述べさせていただきましたお話の繰り返しになるのでありますが、決めなければいけないところで決定打を打てない、そんな錦織のジレンマがあるのであります。

ベースラインテニスを超える、新たなるウィナーボールを見出したとき、錦織のグランドスラム制覇が見えてくるのであります。 KAI