2016参院選総括

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おおさか維新にとって、今回1番の成果は、参議院における改憲発議2/3の、キャスティングボートを、おおさか維新が単独で握ったことにあるのであります。

このキャスティングボートを握る意味とは、維新の憲法改正案を受入れない限り、自民党案には賛成する必要がないってことなのであります。

そして、これは、もちろん憲法改正だけにとどまらず、他の法案の審議にも、おおきく影響してくることにもなるのであります。

と言うことで、この問題は、のちほど詳しくふれることにいたしまして、まずは選挙前の予測の検証であります。

・自民(改選50)民共連合失敗に助けられ増加(期待プラス10、政策プラス2)→プラス12→(結果55(当選後公認56))プラス5
・公明(9)民共連合失敗に助けられ増加(期待プラス4、政策マイナス2)→プラス2→(14)プラス5
・民進(46)6年前の勝たせ過ぎ反省から大幅減(期待マイナス10、政策マイナス10)→マイナス20→(32)マイナス14
・維新(2)(期待プラス4、政策プラス5)→プラス9→(7)プラス5
・共産(3)人殺し発言で無党派離れ(期待プラス8、政策マイナス5)→プラス3→(6)プラス3
・生活(2)消滅 →マイナス2→(1)マイナス1
・社民(2)消滅 →マイナス2→(1)マイナス1
・その他(7)→マイナス2→(5(4))マイナス2

合計 →プラス26、マイナス26→プラス18、マイナス18

残念ながら、的中は共産とその他のみ。生活、社民の消滅は期待値が大きかっただけに、それぞれしぶとく生き残ったのには、不本意の極みなのであります。

そして、KAIがマイナス20と予測した民進のマイナス14でありますが、これは一人区での勝ちすぎが原因とはいえ、一人区で民進を勝たせた東北地方を中心にした有権者(と2人も民進を当選させた東京選挙区(注1))のみなさんは、一体何を民進候補に期待しておられるのでありましょうか。

あれだけのデタラメな詐欺マニフェストで政権を獲得して、あれだけのデタラメな政権運営をして、おまけにいま、このときの反省も一顧だにないまま、民主政権時代の方が経済は良かったなどと、ふざけたことを言い、地球5周分のガソリンを税金で支払ってもなお、何の説明責任を果たそうとしない現役の政党幹部をかかえる、こんなデタラメ政党に、いまなお期待するものとは、いったいぜんたいなんなんでありましょうか。と、一人憤慨していることをここに記して、矛を収めることにするのであります。

(注1 民進2人目の小川敏夫が6番目に滑り込んだのは、田中康夫のオウンゴールにある。こちらにも書きましたが、多くのおおさか維新支持者が田中康夫に投票していないと思う。彼らが動いていれば小川との票差4万票は軽く超えたはず)

そこで、肝心要のおおさか維新なのでありますが、KAIの期待値が大きかっただけであって、これは順当な結果であったと言えるのであります。

ただ、少しだけ言い訳を言わせていただきますならば、今回新たに有権者に加わった18、19歳の若い人たちのおおさか維新への支持率にKAIは相当期待していたのでありますが、残念ながら他の年代と差がなかったことにあります。もちろんこの期待の根拠はあるのですが、よくよく考えれば大阪の高校生と言う特殊事情があったのであります。(注2)

(注2 今回18、19歳の投票率でありますが、KAIは55%と予測しておりました。結果は全国で45.45%でありましたが、大阪は50.80%と全国平均を大きく上回ったのであります)

とはいえ、冒頭にふれましたとおり、ここにきましておおさか維新は、国会におけるキャスティングボートと言う、大きな位置を占めることができたのであります。

それは、今後の国会運営において、様々な重要法案の審議に大きな影響を与えることができるようになると言うことでもあります。

具体的には、昨年の安保法制における議論で、維新の党が出した対案は、与党から一顧だにされることがなかったのであります。

もしこのときに、憲法改正発議の議論の途中であったなら、与党は安保法制の議論は別とはいえ、キャスティングボートを握る政党の出した対案をまったく無視するわけにはいかなくなるのであります。

少なくとも、なんらかの附帯条件を勝ち取るなどの交渉事が可能となるのであります。

そこで、にわかに再浮上いたしました、「おおさか維新の会」党名変更問題であります。

さきほどの注1にも書かせていただいたのでありますが、KAIは、田中康夫氏の落選は、まさにこの党名問題にあったと思うのであります。

それは、みなさんの想像される内容とまったく反対の意味での落選なのであります。

つまり、「おおさか」だから落選したのではなく、「おおさか」でなかったから落選したと、かように申しあげるのであります。

田中氏は、おおさか維新の候補として立候補しながら、松井代表と共同の街宣時以外は、決しておおさか維新ののぼりをあげることはなかったのであります。

ひたすら、自身の長野での改革がおおさか維新の身を切る改革、それを大阪に先行してやってきた実績を訴えたのであります。

いえいえ、田中氏の身を切る改革と大阪の身を切る改革は、全然違ったのであります。

何が違ったのかといいますならば、大阪では身を切る改革で生み出した財源で、それを子育て、教育に重点投資したのであります。

でありますから、田中氏は、この大阪での教育への重点投資のための身を切る改革を訴えない限り、長野での実績を言えば言うほど、身を切る当事者である公務員とその家族は、反発を強めるばかりであり、田中氏はまったくこれに気づかなかったのであります。

もちろん彼は教育の無償化も訴えたのでありますが、ここに長野での身を切る改革を挟み込むから、有権者には身を切る改革と教育の無償化がストレートに結びつかなかったのであります。

それではなぜ、いま「おおさか」を党名から外そうとするのか。

それは、「おおさか」を前面に出して戦った全国比例候補の石井苗子氏でさえ、全国で6万8148票であり、そのうち2万票が大阪の有権者からもたらされたものであったことを考えると、おのずと導き出される結論であったのであります。

すなわち、「おおさか」の名前を冠して、「個人」が全国で戦う限界であります。

それでも「おおさか」は、今回大きな役割を果たしたと言わざるを得ないのであります。大阪の2議席、兵庫の1議席は、その大きな成果であったことは間違いないのであります。

そして、ここにおいて、党名を「日本維新の会」に原点回帰すると言う、維新幹部の決断は、ポスト橋下維新の第2ステージへの挑戦でもあります。

いままで「おおさか」と言う冠が担ってきた役割は、今回新たに加わった6人の新人議員が引き継ぐことになるのだと、あらためて確認する必要があるのであります。

彼らや彼女たちが、国会と言う場で、「おおさか」を体現することこそが、日本維新の会の第2ステージの始まりであると、KAIは期待するのであります。 KAI