北朝鮮崩壊のシナリオ(10)

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米朝会談その後であります。

初の米朝会談、勝ったのはトランプか金正恩か。成功か失敗か。
 日本のメディアに登場する“識者”たちは否定的な見解が多いが、アメリカのMSM(メイン・ストリーム・メディア)は全面否定。
 『ニューズウィーク日本版』(6・26)「米朝会談の勝者」と表紙に打った12ページの大特集も同様だ。
 〈金正恩朝鮮労働党委員長は長年の悲願を4つかなえて、帰国の途に就いた。1つ目は、34歳の貧国の独裁者である金が世界最強の国の指導者と対等の立場で会談できたこと〉〈2つ目は、トランプが「北朝鮮に体制保証の提供を確約した」こと〉〈3つ目は、トランプが米韓合同軍事演習の中止に合意したこと〉〈4つ目は、「最大限の圧力」をかけ続けるというアメリカの政策を無効にできたことだ〉
 〈一方、トランプはほぼ手ぶらでシンガポールを後にすることになった〉
 その他にも、
 〈金もトランプも平気で約束を破る。こんな状況で両者が目標を実現させることは困難だ〉
 〈(共同声明は)「冗談」のような代物〉
 〈彼(トランプ)はペテン師で夢想家だ。みんなが詐欺師の口車に乗せられたのだ。何一つ信用できない〉
【花田紀凱の週刊誌ウオッチング〈674〉】、米朝会談 勝ったのはトランプか金正恩か(1/2)
 〈芝居がかった場面ばかりで、中身はほとんどなかった。自称「交渉の達人」がこのようなディール(取引)を繰り返すなら、平壌にトランプ・タワーが建つ前に、ホノルルに金正恩ヒルトンがオープンするだろう〉
 アメリカのMSMが大統領選の予測を誤ったことは覚えておいた方がいい。
(2/2)
<アメリカのMSMが大統領選の予測を誤ったことは覚えておいた方がいい>
まさに花田氏の言うとおりなのであります。

あの大統領選前の報道を振り返りみますれば、日米ともメディアがいかに偏向した見方しかできていなかったことは厳然たる事実なのであります。

今回もまた、メディアはこの「偏向した見方」に終始するのであります。

では何が「偏向した見方」であるかと言いますれば、まず一番は〈一方、トランプはほぼ手ぶらでシンガポールを後にすることになった〉であり、二番目は〈(共同声明は)「冗談」のような代物〉の部分なのであります。

実際にはトランプは共同声明という大きな成果物をみやげにシンガポールを後にしたし、その共同声明自体がこれまでの6カ国協議などと違って両国首脳同士が直接署名までして約束しあったものであるのであって、「冗談」でもなんでもない「本気」の文書なのであります。

アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が署名した共同声明では、「トランプ大統領は、北朝鮮に対して体制の保証を提供する約束をし、キム委員長は、朝鮮半島の完全な非核化について、断固として揺るがない決意を確認した」としています。そのうえで、新たな米朝の関係が朝鮮半島や世界の平和と繁栄に貢献し、相互の信頼を高めることが朝鮮半島の非核化を促進することができると認識したとしています。

共同声明では、具体的に4項目を挙げていて、▼米朝両国は、平和と繁栄に向けた願いに基づいて、新しい関係を樹立するために取り組んでいくこと、▼アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力すること、▼ことし4月27日のパンムンジョム(板門店)宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束すること、▼米朝両国が、朝鮮戦争中の捕虜や行方不明の兵士の遺骨の回収に取り組むとともに身元が判明したものについては返還していくとしています。

また、双方は、史上初の米朝首脳会談の成果を実行に移すため、ポンペイオ国務長官と北朝鮮高官による交渉をできるだけ早く行うことに同意したとしています。

過去の米朝共同声明
アメリカと北朝鮮の間では、これまでも核・ミサイル問題をめぐる協議を経て、共同声明などが発表されたことがあります。

今から25年前の1993年には、北朝鮮がNPT=核拡散防止条約からの脱退を一方的に宣言したことから、米朝の政府間協議が行われ、共同声明が発表されました。この時の共同声明では、双方が武力を行使しないことなどで合意し、北朝鮮は、NPTからの脱退を取りやめる意向を示しました。

その翌年の1994年には、カーター元大統領が、ピョンヤンを訪れてキム・イルソン(金日成)主席と会談し、その後の「米朝枠組み合意」につながりました。この合意では、北朝鮮が核兵器の材料となるプルトニウムを抽出できる黒鉛減速型の実験炉などを凍結することを約束し、その見返りに、アメリカが軽水炉型の原子力発電所を提供することになりました。

また、2000年10月には、キム・ジョンイル(金正日)総書記の特使としてチョ・ミョンロク国防委員会第1副委員長がワシントンを訪れて、クリントン大統領と会談し、共同声明を発表しました。この時の共同声明では、米朝双方は、互いに敵対的な意思を持たないことを宣言し、今後、新たな関係を樹立するため、全力を尽くすことを約束しました。

また、オルブライト国務長官が訪朝しアメリカの大統領の北朝鮮訪問に向けて、調整することなども盛り込まれました。しかし、いずれの合意も、北朝鮮が核を放棄することにはつながらず約束をほごにすることが繰り返されてきたことから、アメリカは北朝鮮への不信感を募らせることになりました。
共同声明 完全な非核化など4項目、2018年6月12日 17時01分

この共同声明の肝となるのが、こちらであります。

「北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束すること」

北朝鮮は、米国によって「完全な非核化」を約束させられた。これが事実であります。

みなさん、万が一、北朝鮮がこの約束を少しでも破る動きがあった場合、どうなるか、お考えいただきたいのであります。

トランプは、正恩くんが自ら署名までした約束を守る意思がないとみなして、ただちに軍事行動に打って出る、その正当性を手にすることができるのであります。

もちろん、正恩くん、これを百も承知の上に、さらさら非核化など考えていなくて、ただただ時間稼ぎと経済制裁緩和を狙って、署名しただけだったのであります。

でありますから、今後北朝鮮はたくみに非核化の意思がないことを隠しながら、トランプの大統領退任まで時間稼ぎに終始するのであります。

しかしトランプは、これまでの歴代の大統領と違ってそう甘くはないのであります。

7月初旬訪朝するポンペイオ国務長官によって、北朝鮮は具体的なタイムスケジュールを突きつけられ、国際社会から監視され続けることになるのであります。

この中にあって、北朝鮮の意図的な遅延行為は、トランプにとってもはや交渉の余地のない、非核化の意思なしとみなされ、ただちに共同声明破棄、軍事行動の道へと繋がっていくのであります。

と言うことで、正恩くんの本音を表す情報がまた一つでてきたのであります。

 アメリカの北朝鮮分析サイト「38ノース」は、北朝鮮の核施設の衛星写真を公開し、インフラ整備が続いているとの分析を発表しました。

 「38ノース」が公開したのは、今月21日に撮影された寧辺(ヨンビョン)の核施設の衛星写真です。「38ノース」によると、黒鉛減速炉に冷却水を引き込むためのポンプ室や水路などが完成したほか、実験用軽水炉の近くに、新たに2つの建物が確認出来ます。また、ウランの濃縮施設では、屋根に冷却設備から出た水蒸気による染みができていて、稼働が続いているとみられています。

 「38ノース」は、「政府からの特別な指示があるまで、通常の作業が続くとみられる」と分析。今月12日に開かれた米朝首脳会談の共同声明に盛り込まれた「完全な非核化に向けた努力」を、北朝鮮が実行に移しているかは不透明です。
北朝鮮核施設の整備続いている、「38ノース」分析

まだ具体的な指示が出る前とは言え、核実験場廃棄などと宣伝しながら一方ではこれであります。

どちらがキツネでどちらがタヌキか知らないのでありますが、キツネとタヌキの化かしあい、すでに勝負はついているのであります。 KAI