ロシアの歴史的愚挙に思う(4)

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とうとう半年がたってしまったのであります。

更に、たとえもし東部州の一部の完全制圧できたとしても、ゼレンスキーがロシア側からの停戦を受け入れるはずもないのであります。

ゼレンスキー政権にとって、欧米からの軍事支援によって、今後ますますロシア軍への反撃を強めていく体制にあり、停戦などまったくもって頭の隅にもないのであります。

すべてのロシア軍をウクライナ領から追い出すまで、ゼレンスキーは戦い続けるのであります。

もちろんこれはクリミアも含めてでありますが、クリミアからロシアを追い出す口実を、今回は結果的に与えることとなったのであります。
ロシアの歴史的愚挙に思う(3)、投稿日:2022年5月15日

前回書きました通りなのであります。クリミアも含めてウクライナの領土からロシアを追い出すまで、ゼレンスキーは戦い続けるのであります。

では、この戦いはいつまで続くのでありましょうか。

考えられるパターンは2つあるのであります。

その一つが、今後2、3か月以内の終結なのであります。

一部報道によりますならば、今後兵站が途絶えることによるロシアの戦力がもたない可能性が指摘されているのであります。その場合、ロシアにはウクライナからの全面撤退しか残されていないのであります。

ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナ軍参謀本部は28日、東部ドネツク州の3方面で露軍の前進を撃退したと発表した。露軍は全域の制圧を目指す同州で過去1カ月半以上、目立った前進を遂げられていない。同参謀本部はまた、南部ヘルソン州でも10人規模の露軍部隊が前進を試みたと発表した。米シンクタンク「戦争研究所」は27日付リポートで、10人規模の部隊では攻勢には不十分で、露軍の戦闘能力の劣化を示唆していると指摘した。

同参謀本部によると、ドネツク州で前進を阻止したのは、中心都市スラビャンスク方面や要衝バフムト方面など。露軍は各方面で砲撃を続け、地上部隊を前進させようとしたが、反撃を受け撤退したとした。ヘルソン州では奪還を目指すウクライナ軍が露軍弾薬庫などの兵站(へいたん)破壊を進めており、露軍の戦力低下が指摘されてきた。

戦況の膠着(こうちゃく)について、ショイグ露国防相は24日、「民間人の被害を避けるため、意図的に攻勢の速度を落としている」などと主張。しかし英国防省は「要因は露軍の能力の貧弱さとウクライナ軍の反攻であり、ショイグ氏の発言は虚偽だ」と指摘している。
露軍部隊が10人規模で攻勢、米は戦力劣化を指摘 ウクライナ戦線膠着、2022/8/28 20:17

プーチンがこの現実を受け入れるかは別にするといたしまして、事実上ロシアの敗北となるのであります。

前回言及いたしました通り、この期に及んで、プーチンの核使用への懸念はまるで消えてはいないのでありますが、核使用は、別次元の問題となるのでありますので、今回はあえてお話から除外させていただくのであります。

さて、今後を占う2番目のパターンなのであります。

それは、戦争の長期化であります。

長期化がいつまで続くのか。これを考える上で重要となると思われますのが、長期化の末、いかなる終結を迎えることになるのか。この結末の「姿」によって、長期化の様相が見えてくるのであります。

まず、ウクライナの完全勝利であります。

恐らくこれには、数年要することになるのであります。

もちろん、ロシア軍が完全撤退するのでありますが、要因はロシア軍の戦力の問題ではなく、ロシアの経済および財政と言う国内問題が、のっぴきならない状況に陥るからであります。欧米による、ロシアに対する金融、経済制裁の効果が、ようやくあらわれることになるのであります。

次に考えられますのが、戦争状態の恒常化であります。

この可能性がきわめて高いと思われますのが、イスラエルパレスチナ問題であります。この問題の本質は、武力による解決の放棄にあるのであります。

どういうことかと申し上げますならば、ウクライナとロシアが互いににらみ合い、膠着状態に至るってことであります。

もちろんこの問題の解決に導くのは、国際社会による制裁以外ないのであります。しかしながら中国をはじめとしたロシアへの制裁に協力を否定する国々の存在であります。

KAIが考えるこの状況を打開するきっかけとなると思われますのが、もう一つの世界の重要問題である台湾問題であるのであります。

詳細の言及は控えさせていただくといたしまして、ロシアの息を止めるのは、中国。

これから数年以内に起きるであろう、継続するウクライナ戦争さなかに勃発する台湾問題であります。この紛争で恐らく米国に敗退した中国は米国の要求に従わざるを得なくなり、結果ロシアへ引導を渡すことになるのであります。

はたして、いかなることになりますやら。 KAI