ロシアの歴史的愚挙に思う(9)

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朗報であります。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を巡り、プーチン政権の意向に沿った報道を続けているロシア国営テレビで、ニュース番組の放送中に突然、職員の女性がスタジオで反戦を訴えました。
言論統制が強まる中、国営メディアから政権批判の声があがった形で、反響が広がっています。

ロシア国営の「第1チャンネル」で14日、午後9時の看板ニュース番組「ブレーミャ」で、キャスターが、欧米による経済制裁についてのニュースを伝えていたところ、手書きの文字が書かれた紙を持った女性が突然スタジオに入ってきました。

紙には「戦争反対」という英語とともにロシア語で「戦争をやめて。プロパガンダを信じないで。あなたはだまされている」と書かれていました。

女性が「戦争をやめて」と繰り返し叫んでいたところ、放送は突然、別の映像に切り替わりました。

ロシアのメディアによりますと、女性はこのテレビ局で編集担当者として働くマリーナ・オフシャンニコワさんで、このあと警察に拘束され、公共の場で軍事行動の中止を呼びかけることなどを禁止した法律に違反した疑いで取り調べを受けているということです。

オフシャンニコワさんは、事前に収録していたビデオメッセージをSNSに投稿していて、父親がウクライナ人、母親がロシア人だと明かしながら、「今、ウクライナで起きていることは犯罪だ」と述べ、プーチン大統領を非難しました。

プーチン政権は、軍事侵攻に反対する声がロシア国内で高まっていることに神経をとがらせ、法律を改正するなどして言論統制を強めています。

こうした中で政権の意向に沿った国営テレビの放送の最中に図らずも反戦を訴えるメッセージが伝えられたことに対して、SNS上ではロシア国内からも賛同したり応援したりするメッセージが相次ぐなど、反響が広がっています。

【全文】SNS事前投稿メッセージ

1分10秒ほどのビデオメッセージの全文です。

「いまウクライナで起きていることは犯罪だ。そしてロシアは侵略者だ。侵略の責任は、ただ1人の道義的な部分にかかっていてそれはプーチン大統領だ。私の父はウクライナ人、母はロシア人で、敵対したことは1度もない。私の首にかかるネックレスはロシアがこの同胞を殺し合う戦争を直ちに止めなければならないという象徴だ。兄弟国である私たちはまだ和解できるはずだ。残念ながら私は過去何年もの間、『第1チャンネル』でクレムリンのプロパガンダを広め、今はそれをとても恥じている。テレビ画面を通してうそを伝えることを許してきた自分を恥じている。ロシアの国民がだまされるのを許してきたことを恥じている。すべてが始まった2014年、クレムリンがナワリヌイ氏を毒殺しかけたとき、私たちは抗議集会に行かず、この非人間的な政権をただ黙って見ていた。そして今、世界中が私たちに背を向けている。今後10世代にわたる子孫はこの同胞による戦争の恥を洗い流すことはできまい。私たちは思考力があり、賢いロシア人だ。この暴挙を止めるには、私たちの力しかない。抗議集会に加わってほしい。当局は全員を拘束することなどできず、何も怖がることはない」
【詳報】ロシア国営テレビ職員 放送中に突然「反戦」訴え、2022年3月15日 19時28分

そうです、マリーナ・オフシャンニコワさんの、死を覚悟した政府への反旗であったのであります。

もちろん彼女は拘束され、拘留されると思いきや、釈放され、テレビ局を退職したものの、米国テレビ局の取材に応じるなど、いまなお情報を発信し続けているのであります。
ロシアの歴史的愚挙に思う(2)、投稿日:2022年3月30日

このマリーナ・オフシャンニコワさんが今現在無事である報道がありましたので、ご紹介するのであります。
去年、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中、スタジオに入って反戦を訴えた元職員の女性がフランスのパリで記者会見し、当局に身柄を拘束される恐怖からロシアから脱出した経緯を語りました。

ロシア国営テレビの元職員、マリーナ・オフシャンニコワさんは、在職中の去年3月、ニュース番組の放送中にスタジオに入り、「戦争反対」と書いた紙を掲げてロシアによるウクライナ侵攻を批判し、ロシア当局から指名手配されていました。

オフシャンニコワさんは10日、パリに本部がある国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」で記者会見し、ロシアから脱出した経緯を語りました。

この中でオフシャンニコワさんは、当局に身柄を拘束される恐怖から去年秋、捜査機関の追跡が手薄になると判断した休日の夜間を選んで、ロシアからの脱出に踏み切ったと明らかにしました。

そして、車を7回乗り換え、警戒にあたる国境警備隊の車の光におびえながら、星の光を頼りに徒歩で国境を越えたと述べ、「結果として運が良かった」と語りました。

また、ロシアのメディアの状況について「ウクライナのブチャやマリウポリで起きたことはフェイクだとされている。ロシアの人々はプロパガンダ情報があふれた、墓の中の住人だ」と述べ、当局による厳しい情報統制が続いていると指摘しました。

そして「終わりが見えない戦闘が続き、ロシアの犯罪行為はどんどん残忍で攻撃的になっている。この戦争がウクライナの完全なる勝利で終わらないとロシアの未来もない」と述べ国際社会が団結してウクライナを支援するよう呼びかけました。
放送中に反戦訴えたロシア国営テレビ元職員 脱出の経緯語る、2023年2月11日 10時18分

さすがに、反旗翻した職員を直後に拘束はまずいと思って監視対象としていたのでありましょうが、無事国外へ脱出できたようで、安堵の言葉しかないのであります。

前回のエントリーでもお伝えしました通り、ロシアにはもはやメディアを通した世論が戦争を制止する力がまったくもってないのであります。

今後は、ロシア政府を批判して殺害されたリトビネンコや、アンナ・ポリトコフスカヤのように、彼女がならないことを願うばかりなのであります。 KAI