ロシアの歴史的愚挙に思う(11)

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2月24日、とうとう2年が経つのであります。

ここにきて、ウクライナ軍のアウディーイウカからの撤退は、ウクライナにとって相当な痛手となるのであります。

アウディーイウカはウクライナ東部・ドネツク州の工業都市で、ヨーロッパ最大級とされる製鉄用のコークス工場があります。

2014年以降、親ロシア派の武装勢力とウクライナ軍による戦闘が行われてきた場所で、ドネツク市が親ロシア派に支配されてからは、ウクライナ軍側の最前線の防衛拠点となってきました。

おととしウクライナに侵攻したロシア軍はドネツク州全域を掌握する足がかりとして、侵攻開始当初からアウディーイウカへの攻撃を続けてきました。

地元の市長によりますと、激しい戦闘により市街地はがれきと化し、生活インフラのほとんどが停止したということです。

また、侵攻前には3万3000人いた住民の多くは退避し、今月上旬には市内に残るのは900人ほどだとしています。
激戦地「アウディーイウカ」 ウクライナ軍の撤退 その意味とは、2024年2月18日 15時26分

そもそも昨年の6月から開始したウクライナ軍の反転攻勢に陰りが見えだした主たる原因は、米国の支援の中断にあることは明らかなのであります。

そして米国の支援に反対しているのが、トランプであり共和党なのであります。

それにしてもなぜトランプや共和党はウクライナ支援に反対するのか、これを説明する記事があるのであります。

ここでは二つの要因が絡んでいるとみられる。一つ目はウクライナ側の戦場での進展が遅いことだ。ウクライナ政府による夏の反転攻勢で、同軍が広大な範囲の領土を奪還するだろうとの期待は、ロシア軍の防御設備という現実の前に押しつぶされた。「衝撃と畏怖(いふ)(訳注:2003年のイラク戦争で米軍が実施した軍事作戦を指す言葉)」に代わって我々が目の当たりにしているのは、第1次世界大戦の塹壕(ざんごう)戦だ。

共和党の感情をかき立てる二つ目の要因は、「トランプ効果」と呼べるかもしれない。目下、ホワイトハウスへの復帰を目指す選挙活動の中で、前大統領は党の意識を極めて強力に支配しているため、本人が抱くウクライナ支援を巡る疑念は、共和党全体に多大な影響をもたらす。
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トランプ氏が自らの立場を構築する手法は、政策に対する自身のけちな取り組みに典型的に表れている。同氏は戦争資金援助の停止をちらつかせることで、連邦政府による調査から資料を入手する考えを示した。この調査はバイデン大統領の息子、ハンター氏のビジネス取り引きを対象にしている。米国は「ただ一つの追加支援の承認も拒否するべきだ。我が国の兵器の備蓄は枯渇している」。トランプ氏は先月そう主張した。しかしこの措置には、連邦捜査局(FBI)、司法省、内国歳入庁(IRS)が議会共和党によるバイデン一家の調査に対して証拠を手渡すまでという条件を付けた。同氏はまた、米国はウクライナ支援よりも学校の安全を優先するべきだとも語っている。

学校の安全やハンター氏をどうにかしてウクライナ支援に結びつけようとする考えは、一見馬鹿げている。しかしこうした意見表明の中で前大統領が強調した二つの重要な問題は、支持者の注意を引くものとみられる。
米共和党がウクライナ支援に背を向ける理由、2023.08.11 Fri posted at 18:00 JST

なんとトランプは、予備選に向けウクライナ支援を自らの政策の実現の取引条件としているのであります。

そして共和党およびその支持者たちに、このトランプの言動が大きく影響を与えていると言うのであります。

これにはKAIは、憤りを通り越して、呆れかえると言わざるを得ないのであります。

この記事の筆者であるアダム・キンジンガー氏も、記事中以下のように嘆いているのであります。

筆者の立場からすれば、世論調査の結果が明らかにしたのは、自身の所属する党の多くが友人に背を向けようとしているということだ。命がけで民主主義のために戦っている友人に対して、彼らは背を向けるつもりでいる。ウクライナ軍がロシア軍を戦争初期の占領地から追い出し始めたまさにそのタイミングで。それほど勇敢に戦っている軍隊と国家にとって、これ以上士気を失わせる話もなかなかない。彼らは18カ月近くにわたり戦い、米国の支援を頼みにしている。
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トランプ氏以前の共和党はそんな党ではなかった。戦略的パートナー国が民主主義を勝ち取ろうとする戦いを見捨て、ロシアのプーチン大統領に潜在的な勝利を手渡したりはしなかった。我々はかつて冷戦の戦士として、ソビエト連邦の崩壊を実現している。

かねてプーチン氏を受け入れているトランプ氏と共に、一部の共和党員は米国が果たすべき民主主義と自由の防波堤としての役割を忘れつつある。こうした共和党員はそれに代わって、悲惨な孤立主義を選択している。これはヒトラーとの戦いに加わるのに反対した者たちの考えだ。当時は「ラジオ司祭」と呼ばれたチャールズ・カフリンが、行動しない人々の間で強い影響力を誇った。現在の彼らはFOXニュースに慰めを見出す。
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民主主義を守るための戦いを信じない我が党の一般党員の姿に、筆者は保守主義が消え去りつつある事例を改めて目の当たりにする。筆者がかつて認識し、米国が信頼を置いていた保守主義は、今まさに消滅しようとしている。

専制に対し断固として立ち向かったレーガンの政党はもはや跡形もない。今その地位を占めようとしている共和党は、世界が米国の指導力を求めても反応を示さず、一国家の苦難にも関心がないように見える。本来なら我々は、戦いが終わるまでその国を助けて然(しか)るべきなのだが。

アダム・キンジンガー氏はCNNの政治担当シニアコメンテーターで、イリノイ州選出の元連邦議会議員。下院外交委員会の委員を10年間務めた。また空軍州兵の中佐、パイロットでもある。記事の内容は同氏個人の見解です。
米共和党がウクライナ支援に背を向ける理由、2023.08.11 Fri posted at 18:00 JST

それでは、今後の展開はいかなるものになるのでありましょうか。

まず考えられますのが、このまま米国の支援中断が続くならば、ウクライナ敗戦が濃厚となり、これまでの支援がすべて無駄になることが明らかとなることであります。

これに対しては、米国を含めてこれまで支援してきたすべての国とそれを支持してきた国民にとって受け入れがたいものとなるのであります。

そしてこれは、米国のウクライナ支援を支持する人々の動向次第となるのであります。彼らの世論が共和党の支持者たちの世論を動かし、共和党の妥協を勝ち取ることであります。

もしこのまま共和党がウクライナを見捨てたとなれば、トランプの大統領復帰はあり得ないと考えざるを得ないのであります。

それにしても、待つしかない現状にもどかしさと居た堪れない思いが募るばかりなのであります。 KAI