July 13, 2012

「フード・インク」−−「反原発」デモに出かける前にこの映画を観るべし

前回のエントリーにも書いたのでありますが、「反原発」デモキャンペーンなどと言う、自分たちのことしか考えない身勝手さに、KAIはほとほとあきれるばかりであります。

福島原発事故による何十万人の被災者が、なんのあてもなく放置されている現状に、まるで一切目もくれないのもそうであるし、計画停電や節電で操業停止を余儀なくされる中小企業への配慮もなにも一切ないのであります。おまけに電気代を価格に転嫁できない中小の小売店や中小企業には、消費税増税も直撃することになるのであります。

ほんとうに「反原発」を実現したいのなら、再稼働を容認する「政権」を倒して、再稼働を認めない「政権」を樹立する、「政権打倒」運動に、なぜしようとはしないのか?

まるで「ママゴト」、「ファッション」なんであります。

こんなみなさんには、この「フード・インク」と言う映画をお勧めするのであります。

第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた、食のドキュメンタリー作品。『ファースト・フードネーション』の原案となった「ファースト・フードが世界を食いつくす」の著者、エリック・シュローサーがプロデュースを手掛けている。食のドキュメント作品というと、消費者の一方的な主観のみで構成され、悲観的な部分だけ、いたずらに切り取られがちだが、本作では消費者の実態や、昔ながらの農場を経営するJ・サラティン氏のインタビュー、そして大手スーパーマーケットのオーガニック食品への取り組みまで押さえ、希望があることも伝えている。米国からの輸入品を多く食している日本人も見ておくべき作品と言えるだろう。

あらすじ - フード・インク
この50年間ほど、人間の食生活が激変した時代はないだろう。農業の工業化で、スーパーには季節に関係なく野菜や果物が並び、ファースト・フード店の出現で、世界のどこでも同じ味のバーガーが食べられるようになった。しかし、大手食品メーカーと契約する養鶏所で見たのは、2、3歩歩くと足が折れてしまうブロイラーたちだった。彼らにとってチキンは“製品”なのだ。
フード・インク - goo 映画


この映画は、「食品メジャー」によって、いかに私たちの食生活が「汚染」されているのか、これを詳細にレポートする、そんなドキュメント映画であります。

しかしながらであります。実際にこの映画をご覧いただければ、このネットでの、この映画紹介と、ユーザーレビューが、いかに「メジャー」によって情報操作がなされているか、一目瞭然なんであります。

すなわち、この引用の記事を含めてまったくもって全然真実なんて書かれてはいないし、結果事実が伝わっていないのであります。

とうもろこしと抗生物質でいびつに育てられた「牛」、歩くこともままならないまま出荷される「鶏」。こんなとんでもない「肉」が、普通に市場に流通している。それが「マクドナルド」や「ケンタッキー」であると。

おそらく、「メジャー」からネット企業へ大量の警告文書がばらまかれているのでありましょう。

これを監督、規制するはずのFDA。KAIにとって、FDA、米国Food and Drug Administrationとは、食の安全にとってもっとも信頼できる機関であるかと思っていたら、まるでそうではなかった。「牛」のエサに含まれる抗生物質が、耐性性大腸菌O-157を生み出し、ハンバーガーによる食中毒ですさまじい数の子どもたちが死亡している。しかもその訴訟費用は「メジャー」にかなわないから、ことごとくが「和解」と称して泣き寝入りさせられているのであります。

この構造は、東電と国の関係とまったく同じ。

「食」の世界で、とっくの昔から、「汚染」は世界中に拡がっていたのであります。

この映画の監督が、先々月、日本で講演したとのことで、その内容を長いですが、ここに引用するのであります。

【講演】ロバート・ケナー監督

今日本では、放射能汚染による食品の安全が問題になっていると思われる。これは自然の力を軽視した結果だと言えるが、今現在の農業システムは、放射能汚染の問題と変わらない。

この農業システムは、消費者と惑星全体を危険にしている。予防的原則が欠けている。

映画を撮るにあたって、100社近くの企業に取材を申し込んだが、応じる会社は無かった。

食料が工業化され、数社によって支配されようとしている。これは、アメリカだけでなく、世界のみなさんに関係がある。多国籍企業は常に新しい市場を必要としている。この新しいシステムは、わずか40〜50年前に作られたシステムである。安い食品を作るこのシステムには、見えないコストがかかっている。

安い食品が実は高く付いている。

このシステムが求めてきたのは画一化・単一化。その代表的なものがトウモロコシと大豆。

9400万エーカーの面積にトウモロコシが植えられている。これは日本全土に植えられたのに等しい面積。これだけ広大な土地をトウモロコシだけを植える土地にした。耕作地の50%以上がトウモロコシと大豆。コーンの40%がエタノール用で、50%が飼料用となっている。

トウモロコシの栽培効率は100年前の10倍になったが、膨大なコストを払わなければならなくなった。
単一の作物を作るために単一の除草剤、とうもろこしは除草剤耐性のトウモロコシになっている。農家は除草剤を大量に撒くように求められる。

遺伝子組み換え食品が初めて食卓に上ったのは1996年。これまで1万年の間やってきた農業を根本から変えた。遺伝子組み換えはバクテリアからDNAを取り出して、他の生物に組み入れるというものである。遺伝子組み換えのプロセスは、本来の自然のシステムから離れたところにある。

1996年に売り出した時には2%だけだったが、2008年には90%以上の大豆が遺伝子組み換えになった。2011年には94%になったと言われている。90%以上になっても彼ら(多国籍企業)は満足していない。

汚染は珍しいことではなくなっている。2006年、バイエルン社が遺伝子組み換え米の実験を始めた。この遺伝子組み換え米はまだ市販されていないが、アメリカからヨーロッパに輸入されたものから検出された。

タコベルのトウモロコシに、食用でないトウモロコシが入っていた。食べた女性にアレルギーが起きた。

カナダではアマニに同じことが起きている。メキシコでは何マイルも離れた作物が汚染されたことがある。

植物だけではなく、牛・豚・鶏にも遺伝子組み換えのものが作られ始めている。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は遺伝組み換えサーモン、アトランティックサーモンを承認した。普通の2倍の速さで成長する巨大サーモンが、野生のサーモンのいるところに出た場合、影響はどうなるか。私たちはこれほどのリスクを取れるのだろうか?

重要なことは自然の適応力というもの。自然というものは常に適応能力というものがある。虫も植物も変わってきている。ラウンドアップに耐えられるスーパー雑草が出てきている。さらにスーパー雑草を殺す除草剤が出てきている。これまでの除草剤に変わって、ベトナム戦争の枯葉剤として使われた2,4-Dという劇薬を使おうとしている。

遺伝子組み換え作物が出てきてから、除草剤を使う量が5倍になった。企業の統合化が進められ、現在遺伝子組み換えの特許を取っているのは4社だけになっている。こうした企業は薬品を売るために種を作っている。戦争の特にオレンジ剤やナパーム弾などの化学薬品を生産して莫大な利益を得てきた企業である。

「世界中にひとつの種」というのが、これらの企業が目指しているものである。(マクドナルドは「世界にひとつの味」で世界に進出した)

食肉でもたった4社が80%を占めている。巨大な食肉会社はトウモロコシに補助金が出ているから、本来の生産価格よりもずっと安い価格でトウモロコシを買うことができる。工業化されたフードシステムは効率を上げていくが、効率が進むたびに問題が増えてくる。

抗生物質の80%が家畜に使われている。抗生物質を使うことによって、普通より早く成長させることができる。不衛生な環境でも育てることができる。その結果、スーパー雑草が出てきたように、抗生物質が効かない細菌が出てきている。予防的原則を忘れている。私たちの病気を治すことができなくなってしまう。自分たちの命を犠牲にしていると言わざるをえない。抗生物質が効かない病気を治すためにアメリカでは年間200億ドルを費やしている。安い食品が私たちの健康を壊している。

ハンバーガーに使われているピンクスライムという加工肉はアンモニアを使って殺菌している。

先月アメリカで狂牛病が発見された。アメリカでは1%しか検査されていないが、日本が高い基準を設けることはアメリカで戦っている我々の助けになる。

安い食品は目に見えない大きなコストがかかっている。それは税金によって賄われている。

環境にも影響が出ている。除草剤によって多くの生物が失われている。このままでいくと、ひ孫の世代は食べられないということになってしまう。

単一栽培されたトウモロコシによって安い食品が作られるようになった。20年前に比べて大人1日当たりの摂取カロリーが300kgカロリー増えた。こうしたことによって癌、糖尿病が激増している。2030年までにはアメリカ人の43%が糖尿病になると言われている。糖尿病に年間2000億ドルの医療費が掛かっている。アメリカの半分が肥満だと言われている。

私の子どもの頃は15%が食費で5%が医療費だった。今は9%が食費。18%が医療費。

私たちは自由という社会に住んでいる。

私たちは、食べ物に何が入っているか知り、それを選択する権利を持っている。

企業は隠さずに消費者に伝えるのが本当ではないか。

アメリカの食品の70%が遺伝子組み換えと言われている。しかし、表示はされていない。

みなさんが厳しい表示を求め続けてくれることが非常に重要。日本のためにも世のためにも。

バイオテクノロジー企業は世のため人のためと言いながら、これまでにその約束は守られていない。
遺伝子組み換え作物は、これまでの交配品種のものと収穫量は変わらない。
バイテク企業がやっていることは、自分たちの顧客を囲い、種と薬品を売ること。

このままでいくと予防原則から離れてしまう。

自然を無視し続ければ、同じようなしっぺ返しがくるに違いない。遺伝子組み換えのサケが野生に放たれるとどうなるか。なぜいつも消費者が説明しなければならないのか。

日本は大量の食品を輸入している。ということは多国籍企業に依存しているということだ。

安いからといって、それらを選ばすに、声をあげれば多国籍企業が入ってくるのを防げる。

みなさんの声は効果がある。世界の人々にとっても。

みなさんのような国の人々が、遺伝子組み換えに対して何らかの抵抗を示していることは、アメリカにとっても有効なこと。表示をしなければならない。

多くの人が声を上げ始めている。
合成成長ホルモンの使用をストップさせた。
ピンクスライムの工場4つのうち3つが閉鎖に追い込まれた。
100万人の署名を集め遺伝子組み換え食品の表示を求めている。

消費者は自分が思っている以上に力がある。

日に3回投票している。

企業もいうことを聞かざるを得ない。今、オーガニック市場が拡大している。

ガンジーが残したこのことばが私は好きです。

「自分が無力で何もできないという人は、蚊のいる部屋で寝たことがないのかもしれない。」
『フード・インク』の監督が語るアメリカの食と農の現状


この映画は、知ってるよ、とさもしたり顔に言う方にも、これを読んでおかしいと思う方にも、申しあげたい。

なぜあなたたちは、行動しないのか?

自分たちの子どもたちが、「将来」汚染される危険よりなにより、「現在」が汚染されているのであります。

にもかかわらず、「現在」を「放置」して、「将来」の「ファッション」にうつつをぬかす。

この「精神構造」こそが、糾弾されるべきものなのであります。 KAI

投稿者 kai : July 13, 2012 06:00 PM | トラックバック