パンデミックの正体(7)

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いよいよ緊急事態宣言全面解除も目前に迫り、まずは第一段階クリアなのであります。

ところがであります。ここにきまして、またまた「コロナなんて怖くない、ただのインフルエンザと同じ」論が幅を利かせようとしているのであります。

彼らの主張の根拠としていますのが「抗体検査」による、推定感染者数。

今回は、この主張の代表者であります永江一石氏の記事をたたき台にさせていただきながら、彼らの主張の数々の間違いを指摘していきたいと思うのであります。

【独自】「抗体検査」東京の献血で0.6%陽性、結果にばらつき

厚生労働省は、日本赤十字社が先月、感染の多い東京と感染の少ない東北でそれぞれ500人分ずづ集めた献血の検体を使って、抗体検査キットの性能評価を行いました。関係者によりますと、性能評価を行った複数のキットの結果を合わせると、東京では、500検体のうち最大3検体、0.6%で陽性の結果が出たということです。一方、東北では、500検体のうち最大2検体、0.4%が陽性を示したということです。

これで算出してみます。精度はかなり訳が分からなそうなのであくまでもこれが正しかったらです。
しかしこのあと東大の別調査の結果も出て同じ0.6%

東大が抗体検査実施 陽性は0.6% 都内500人で感染状況を調査

東京都の人口は1400万人。推定される感染者数は
1400万×0.006= 84000人
これにたいして死者数は

212人ですので
212÷84000=0.0025 つまり0.25%です。
インフルエンザが0.1%だから、その2倍程度になるわけです。
参考までに各ウイルスの致死率は
SARS 10%
MERS 34%
エボラ 40%
はしか 先進国で0.1% 感染者の約30%が合併症
B型肝炎 劇症型では致死率は約70%

ここで思いだして下さい。これは以前に紹介した記事

新型コロナ、致死率は0.2%未満か? シリコンバレーで抗体検査

スタンフォード大学の研究チームがシリコンバレーの住人3300人を対象に血液検査を実施したところ、推定2.5%から4.2%が新型コロナウイルスにすでに感染しているとの結果を得た。確認されている感染者の50倍以上となり、致死率は従来の予測よりも大幅に低い可能性がある。

なんと、致死率はカリフォルニアも日本も変わらないということになる。NYは0.5%くらいでもっと高かった。
東京の感染率0.6%! で全く恐くないと分かった新型コロナ、2020年5月15日
つまり、抗体検査による推定感染者数を使用してコロナの致死率を計算すると、インフルと同程度であるから、コロナは全く怖くないとの主張なのであります。

この主張には、数々の疑問点が含まれているのでありますが、まずは致死率を計算するのに、報告感染者数ではなく推定感染者数を使用する意味についての疑問であります。

報告感染者数 < 推定感染者数

でありますので、推定感染者数を分母に使用して致死率を計算すると、当然致死率は小さくなるのであります。

ここで疑問となりますのが、この数値とインフルの致死率を比較する意味があるのか、と言うことなのであります。

実は、この疑問に答えるヒントが、米国のコロナの感染状況にあるのであります。

現在の米国のコロナの感染状況は次のとおりなのであります。

■感染者数157万7140人 死者数9万4702人(5月22日正午時点厚労省とりまとめ)
■致死率6.00%(9万4702人/157万7140人)

参考までに国内に致死率は4.92%(死者814人/感染者数1万6543人(5月22日現在))なのであります。

ここで重要なのは、両者のコロナの致死率には大きな違いはないと言う事実なのであります。

そこで、仮に、コロナとインフルの致死率にも大きな違いがないと言う永江氏の主張を採用して、両者のコロナの致死率に、インフルと同じ致死率を仮定するとしますと、さてどうなるのでありましょうか。

■米国インフル致死率0.06%(2万3000人/3900万人(CDC))
■国内インフル致死率0.01%(1016人/1000万人(厚労省))

このそれぞれの致死率を、仮にコロナの致死率に適用すると、

・米国の、コロナの現在の推定感染者数は、1億5784万人
・米国の、コロナの推定感染率は、48%(1億5784万人/3億2820万人)
・米国の、コロナの報告感染率は、0.48%(157万7140人/3億2820万人)
・米国の、インフルの感染率は、11.9%(3900万人/ 3億2820万人)

・一方国内の、コロナの現在の推定感染者数は、814万人
・国内の、コロナの推定感染率は、6.5%(814万人/1億2596万人)
・国内の、コロナの報告感染率は、0.013%(1万6543人/1億2596万人)
・国内の、インフルの感染率は、7.9%(1000万人/1億2596万人)

なんと米国の人口の半分は、既にコロナに感染してしまっているとの結論になるのであります。しかもコロナは、わずか半年足らずでインフルの年間感染率の数倍に達しているのであります。

一方、国内でも、同様に半年足らずで、インフルと同程度の感染率となっており、しかも、自粛自粛のコロナに対して、インフルは全くの無防備であり、これが同程度の感染率とは、明らかに異常値なのであります。

このことが意味することは、明らかなのであります。

つまり、コロナの推定致死率がインフルと同程度とする仮定が、間違っている。

すなわち、コロナの致死率は、たとえ推定感染者数を使用するとしたとしても、はるかにインフルの致死率より大きな値となるのは、確実であると言えるのであります。

これはすなわち、まぎれもなく、コロナはインフルより恐ろしい感染症であることを示していると言うことであるのであります。

そして、今後も実施される予定の抗体検査から求められる推定感染者数について、抗体検査に使用するサンプルの偏りをより精査しないと、そのままでは感染状況の把握にはまったくもって使用できないのではないかと、危惧するのであります。

さて、永江一石氏の記事の後半であります。

ではなんで日本は死者が少ないのか!
簡単にいうと

日本ではかかるリスクのある人がとても少ない

ということになります。カリフォルニアでは4月中旬で感染率推定2.5%から4.2%。ニューヨークでは4月27日には14.9%です。なのに東京は0.6%??!!

もっと分かりやすく言うと、日本では新型コロナの感染者が2020年01月20日に出た。当時は全く自粛どころかなにもしていない。ニューヨークの患者第1号は3月1日。しかし20日後には感染者が1万人を越えた。緊急対策として22日にロックダウンです。

日本はと言うと、累計の感染者数はいまだ15908名。1万人に達したのは4月16日です。ニューヨークが20日かかったものが、なんと3ヶ月もかかっている。

NYでは1週間で1万人が日本では3ヶ月!!

これがもしかしたら、日本の死者や感染者数が非常に少ない理由かも!
いままで「日本は欧米と比べて致死率や重症化率が非常に低い」と仮定していましたが、そもそもの感染率がめちゃくちゃ低いとするとBCGまたはわたしが説を唱えている

日本(アジア)の新型コロナ感染者、重症者、死者が欧米よりはるかに少ない理由はHLAと仮定するとドンピシャにはまる
のように、日本人はそもそもコロナに感染しにくい人が大多数ということになります。

もちろん高齢や既存症がある人が密閉空間で大量にウイルスに曝露したクルーズ船などのケースでは感染率は上がるが、一般的な健康体が感染するリスクは非常に小さいということになる。

昨日の専門家会議のリリースの資料でも
(図略)
めちゃくちゃ早い時期に実効再生算数は鈍化してしまってます。
世界各国ともロックダウンしても患者数が減るのに1ヶ月〜2ヶ月以上かかるのに日本は非常事態宣言が出てすぐに感染者数が低下。明らかにその前から下がっている。つまり

かかるべき人はみんな罹ってしまった

ということになります。もともと日本人に新型コロナにかかる人はほとんどおらず、だからこそこんなに一気に終息した。そう考えるとつじつまが合います。というよりそれ以外は考えられません。仮にわたしがジャーナリストなら、専門家委員会に対して

「どうして日本は欧米より感染速度がこんなに遅いのか」
「GWも夜の街はオープンしているゆるゆるの自粛だったのにどうしてこんなに感染率が下がったのか」
(図略)
ということを質問します。
日本人はもともと手洗いなどの習慣が・・・みたいな回答であれば

「なぜ東アジアの国々はこんなに感染者が少ないのか」と数字を挙げます。

人口100万人あたりの感染者数
アメリカ 4,407
スペイン 5,832
イギリス 3,437

シンガポール 4465 ただし外国人労働者が大半(中東?)
韓国 215
香港 140
日本 127
インド 59
タイ 43
ベトナム 3

先日も書きましたがアジア各国のPCR検査数はけっしてすくなくなく、日本よりはずっと多いです。つまり東アジア全体の感染比率がどうして低いのか、日本がこれほど感染率が低いのなら自粛はしても意味がないのではないか。ここを本当に聞いてみたいです。おそらくいままで、地域によって感染力が違うというようなケースは稀で、だからこそ5/1にリリースするはずがこんなにおくれたのではないかと考える次第です。ほかにどういう説明がつくのか本当に聞いてみたい。
(以下略)
東京の感染率0.6%! で全く恐くないと分かった新型コロナ、2020年5月15日

前段での考察のとおりなのでありますが、米国と日本の致死率には、それほど大きな違いはなく、両者の違いは致死率ではなく感染率自体にあることが明らかになったのであります。

この感染率の、欧米とアジアの違いはどこにあるのか、文末最後の「ほかにどういう説明がつくのか本当に聞いてみたい」とのご要望に、いまここでお答えするのであります。

それは、永江氏はすっかりお忘れのようでありますが、すべては1月時点に始まるフランス人を中心とした欧米人によるアジア人バッシングにそのすべての原因があるのであります。

このバッシングに対して、アジア人は一斉に自粛を開始したのであります。一方で、コロナが他人ごとと考えた欧米人は、自粛しなかった。この両者の初動の違いこそ、その後の両者の明暗を決することとなったのであります。

その後の各国の都市封鎖や非常事態宣言で、感染拡大が押しとどめられたことは紛れもない事実ではありますが、この欧米とアジアの感染率の絶対的な違いは、初動からの、個人一人ひとりが自粛するかしないかの差から生じたものであることは、まず間違いないのであります。

これ以上は、個別にコメントすることは差し控えさせていただくのでありますが、この前提に立ちました上で考えますれば、上掲引用の記事の中で提示されました日本の感染者数の特異性もまた、たちどころに説明がつくと言えるのであります。

しかし、コロナとの戦いは続くのであります。

非常事態宣言解除を受け、自粛反対をさけびつづけてきた者たちが、非常事態宣言の敗北、やはり自粛は必要なかったとの勘違いコメントするのを散見するのであります。

ほとほとこの者たちの無知蒙昧に、呆れ返るほかないのでありますが、今後のコロナとの戦いは、この無知蒙昧の徒との戦いでもあると、肝に銘ずる必要があるのであります。

こんご万が一、第2波が起こるとすれば、これは間違いなくこれら無知蒙昧の徒たちの仕業によるものとなるのであります。

このとき、世間が厳しく自粛反対者を罰することができなければ、第3波、第4波と繰り返す羽目になることは、間違いないのであります。ただただそうならないことを、KAIは願うばかりなのであります。 KAI
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