パンデミックの正体(6)

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緊急事態宣言が1カ月延長されるようであります。

これに対して、国内では、SNS以外では目立った反対の動きが見られないのでありますが、海外に目を向けますと、凄まじいことになっているのであります。

アメリカのウイスコンシン。外出禁止に反対する人々の集会。アメリケンバカのパワーが発揮されている
めいろま@May_Roma、午前1:10 2020年4月26日
これを見ますれば、アメリカが、感染者数でも死者数でも、世界ナンバーワンは、さもありなんと納得できるのであります。(トランプさんも大変だなあ)
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、世界全体の新型コロナウイルスの感染者の数は、日本時間の29日午前3時半の時点で308万3467人となり、アメリカでは感染者の数が100万人を超えました。

国別の感染者数
▽アメリカが100万2498人と最も多く
▽スペインが23万2128人
▽イタリアが20万1505人
▽フランスが16万6036人
▽ドイツが15万9137人などとなっています。
国別の死者数
死亡した人の数は21万3824人です。

国別では
▽アメリカが5万7266人
▽イタリアが2万7359人
▽スペインが2万3822人
▽フランスが2万3293人
▽イギリスが2万1092人などとなっています。
新型コロナウイルス 世界の感染者約308万人 米は100万人超え、2020年4月29日 4時32分

一方ブラジルでは、大統領自ら「国民7割新型コロナ感染、どうしようもない」として、規制緩和へと大きく舵を切ったのであります。
 【サンパウロ時事】ブラジルのボルソナロ大統領は18日、首都ブラジリアで支持者らを前に「新型コロナウイルスには(国民の)70%が感染する。どうすることもできない」と発言した。その上で社会の崩壊を防ぐため、各州が独自に実施している商業規制などの隔離措置を緩和するよう求めた。

 隔離措置による失業者増大を最も懸念するボルソナロ氏は「(感染は)きょうでなければ来週、来月だ。これが現実だ」と強調。「高齢者や健康に問題のある人はケアするべきだ。ただ、われわれは働かなければならない」と経済活動再開を訴えた。

 大統領の発言を受け、最大都市サンパウロでは大統領支持者らが車やトラック、バイクを連ねてデモ行進。ボルソナロ氏と対立して隔離措置を進めるサンパウロ州のドリア知事の辞任を求めた。

 ブラジルでは18日までに3万6599人の感染が確認され、2347人が死亡している。 
「国民7割新型コロナ感染、どうしようもない」=ブラジル大統領、経済再開呼び掛け、2020/04/20 18:02

国民の7割が感染すると言うことは、ブラジルの人口が2018年時点で、約2億947万人でありますから、1億4663万人が感染することを許容すると言うことなのであります。

これはすなわち、致死率が6.4%(2347人/3万6599人)でありますから、938万人、実に1千万人近いコロナによる死者を容認すると宣言しているのであります。

物凄いことになってきたのであります。

日本では到底ありえないことが、世界中で起きている。これが現実なのであります。

こういった現実を踏まえまして、国内に目を転じますと、ブラジル大統領と同じく経済破綻を理由に自粛反対を訴える方々が少なからず存在するのであります。

コロナで入院していた阪神の藤浪さん
・症状は嗅覚異常のみ
・入院時には嗅覚は戻っていた
・特に治療はなし
・空いたスペースでトレーニングを行っていた

健康な人はこの程度で終わるの感染症なのになぜこんなに騒ぐ?
自粛反対@jinsho65bwc、午後0:31 2020年4月28日

このツイートの内容もそうなのでありますが、自粛反対者の多くが陥る過ちは、コロナの致死率を軽視することなのであります。

ちなみに国内の、最新の致死率はと言いますと、3.08%(435人/1万4119人)となるのであります。

29日はこれまでに東京都で47人、北海道で38人など、全国で合わせて224人の感染の発表がありました。国内で新型コロナウイルスの感染が確認された人は空港の検疫などを含めて1万4119人で、横浜港のクルーズ船の乗客・乗員712人を合わせると1万4831人となります。また死亡者は国内で感染した人が435人で、横浜のクルーズ船の乗船者13人を合わせると448人となっています。
国内感染者 1万4119人(横浜港のクルーズ船除く)新型コロナ、2020年4月29日 22時44分
なぜコロナの致死率が軽視されるのか、前回このエントリーで言及させていただきました通りなのであります。
 なぜこれほどまでに「人ごと」であったのか。
 その原因の一端は、

・コロナは、風邪やインフルと同じで怖くない
・死ぬのは高齢者でしかも基礎疾患のある老人で若者は関係ない
・米国のインフルの死者は2万人、コロナの比ではない、インフルこそ恐れよ
・経済崩壊による死者は10万人以上だから、コロナで50人死んだくらいで、経済崩壊を疎かにするのはおかしい
パンデミックの正体(5)、投稿日:2020年3月31日

これに加えまして、国内での感染が目立ち始めました3月中旬の、以下のようなツイートにも、その原因の一端があると、KAIは考えるのであります。
岡田氏、日本での死者数2・1%を心配「私自身、受け入れるのに時間がかかった」
--いやいやモーニングショー持論の検査をどんどんやれば、分母の感染者数は増えて致死率は下がる。肺炎死亡者は必ず検査をしているので分子の死者数は確か。人口あたりの死者数で見るべき。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200316-03160030-sph-soci
橋下徹@hashimoto_lo、午前11:00 2020年3月16日
すなわち、致死率はやがて下がるからあてにならない。致死率ではなく死者数(死亡率)が大事であると言うのであります。

ところが、上記引用の通り、最新の致死率は3.08%。下がるどころか5割近く上がっているのであります。

ここで改めて致死率についてご説明させていただきたいのでありますが、多くの方々が、致死率と死亡率の区別がついておらず、しばしば混同して使用されているのであります。

■感染率=感染者数/人口
■致死率=死者数/感染者数
■死亡率=死者数/人口
従って
■死亡率=感染率×致死率

つまり、致死率の分母は、感染者数。死亡率の分母は、人口。まったく異なる値を指す用語であるのであります。

この理解がないために、こんなトンチンカンなツイートをする人が現れるのであります。

アメリカだって、CDCが新型コロナで「8万人罹患し700人死亡」って言ってても、そのCDCが同時に季節性インフルエンザは今シーズンだけで「3900万人罹患し23,000人死亡」って発表してんだから、まあ社会ニュース的なインパクトと実際の死亡リスクは全然釣り合ってないわな。
Weekly U.S. Influenza Surveillance Report (FluView)
A weekly influenza surveillance report prepared by the influenza division.
cdc.gov
レ点注射器薬DNA@m0370、午前8:41 2020年3月27日
現在のアメリカの死者数は5万7266人(致死率5.7%)、ざっとインフルの2万3000人の2.5倍で、これからますます増えていこうとしているのであります。

ちなみに、アメリカのインフルの致死率は、0.06%(2万3000人/3900万人)であります。

コロナは、実にインフルの致死率の95倍と驚くべき致死率を示しているのであります。

アメリカでこのまま感染が拡大して、インフルと同じ3900万人が感染するとしますと、なんと222万人の死者が想定されることにあいなるのであります。

これこそが、致死率の恐ろしさであり、致死率の重要性を示していると、みなさまにはお気づきいただきたいと思うのであります。

さて最後に、あらためて国内の問題につきまして、自粛反対者が主張されるところであります、「コロナとの共存」、「コロナとの共生」について考えてみたいと思うのであります。

「共存」とは、なにも微笑み合って手をつなぐことではなく、白黒つけられないなかでどう柔軟にやっていくか摸索するということであると、あらためて考えさせられている。気にいらないものを殲滅しようとしたって無理なんだから。
切通理作@risaku、午前8:10 2020年4月29日
この「共存」を主張される方々の主張には、なんの問題もないのであります。問題となりますのが、この「共存」「共生」を世間が受入れるための条件にあるのであります。

■現状
・コロナ致死率はインフルの数十倍
・コロナ感染率はインフルの数倍
■共存条件
・コロナ致死率をインフル同程度に下げる
・コロナ感染率をインフル程度に下げる

これが、いまKAIが考える、インフルと同程度にすると言う共存条件なのでありますが、これがインフル治療薬もワクチンも何一つない中、達成できる可能性は、ゼロ。

この極めて厳しい環境において、共存を見出すことは、果たして可能なのでありましょうか。

これをしばらく具体的に考えてみたいと思うのでありますが、まずは国内のインフルによる致死率であります。

Q10.通常の季節性インフルエンザでは、感染者数と死亡者数はどのくらいですか。

例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。
国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)-1818(2005年)人です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25?50万人、日本で約1万人と推計されています。
厚生労働省、新型インフルエンザに関するQ&A

国内のインフルによる致死率は、0.010%(1016人/1000万人)となるのであります。(1016人は214(2001年)-1818(2005年)人の中間値)

感染率はと言いますと、7.9%(1000万人/1億2596万人)。

ちなみにアメリカは、11.9%(3900万人/ 3億2820万人)と、インフルの感染率は10%前後の値を示しているのであります。

そして、コロナの国内致死率は、すでに述べさせていただきましたとおり、3.08%であります。

国内のコロナの致死率は、少なく見積もったといたしましても、インフルの308倍となると言うことなのであります。

つまり、

■共存条件の
・コロナ致死率をインフル同程度に下げる

は、まったくもって実現不可能な条件と言わざるを得ないのであります。

そもそも致死率を下げることができるのは、医療関係者以外にはいないのでありまして、私たちにできることはただただ、医療関係者、研究者、企業にお願いして、その献身に感謝を捧げることだけしかできないのであります。

これは、もう一つの共存条件、感染率が鍵となることを意味しているのであります。

つまり、コロナの致死率がインフルの300倍のままであると仮定する限り、私たちがコロナと共存することは不可能なのでありまして、コロナと共存のためには、コロナの感染率をインフルの何倍もの値に下げる以外には方法がないことを、自粛反対者を含めましてみなさまにはご理解いただきたいのであります。

幸い、直近のコロナの国内の感染率は0.011%(1万4119人/1億2596万人)、インフルの718分の1であるのであります。

ここであらためて思い出していただきたい数式があるのであります。

■死亡率=感染率×致死率

この数式なのであります。これを使いますと、国内の今日現在の死亡率は次の通りとなるのであります。

■コロナ死亡率 0.034%(0.011%×3.08%)
■インフル死亡率 0.079%(7.9%×0.010%)

すなわちコロナの死亡率は、今のところインフルの死亡率の2分の1に収まっている。

これはつまり、コロナの年間感染者数を、現在のコロナの感染者数の2倍以内に抑えることができれば、コロナと私たちは共存できると言うことを示しているのであります。

現在のコロナの感染者数約1万4千人の2倍とは、約2万8千人。

これを理解しました上で、以下のツイートをお読みいただければ、今回の「コロナとの共存」問題への解決の糸口が見えてくると、KAIは考えるのであります。

緊急事態を解除したら、来月だろうと夏だろうと秋だろうと感染者数は増えるに決まっているので、緊急事態解除のために必要なのは、数字よりも「あるていどの拡大はしかたない」という国民の合意ですよ。
東浩紀 Hiroki Azuma@hazuma、午後8:15 2020年4月29日
東浩紀氏は<数字よりも「あるていどの拡大はしかたない」という国民の合意>と書かれておられるのでありますが、安倍首相が、「数字」を使って次のようなメッセージを発することにより、国民的合意を得られるのではないでしょうか。

専門家のみなさんが検討に検討を重ねた結果、インフルエンザウイルスと同じように、コロナウイルスとも共存することができることがわかりました。それはコロナウイルスの感染者を2万8千人までに抑えることができましたなら、可能になります。

そうして、これから政府、国民一丸となって、感染拡大を2万8千人までに抑える取り組みを行っていくのであります。

この2万8千人と言う明確な数字を打ち出すことで、他国のような過度なロックダウンや外出禁止は、日本では必要がないことを、国民共通の理解として共有でき、感染防止対策への国民の積極的協力が得られるのではないかと、KAIは思考するのであります。 KAI

(追記 2020/5/1 14:30)
国内のインフルの死者数を1818人から1016人に変更しました。これにより関係する数値をすべて変更しました。

(追記 2020/5/3 21:55)
現在の国内致死率 3.50%(522人/1万4907人)。

(追記 2020/5/15 23:00)
現在の国内致死率 4.40%(713人/1万6203人)

(追記 2020/5/16 12:45)
現在の国内致死率 4.49%(729人/1万6253人)

(追記 2020/5/23 18:40)
現在の国内致死率 4.92%(814人/1万6543人(5月22日現在))

(追記 2020/6/3 21:56)
現在の国内致死率 5.30%(901人/1万7000人)

(追記 2020/6/11 23:46)
現在の国内致死率 5.33%(922人/1万7306人)
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