小沢有罪確定

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2月17日、供述調書の大半が不採用になり、小沢シンパが無罪確定と喜んでいる。

しかし、これは糠喜びと言うものなのであります。

ポイントは、池田調書の採用であります。

 《大善裁判長は、池田光智元私設秘書=1審有罪、控訴中=の供述調書について、証拠採用の理由を記した文章を淡々と読み上げている。検察官役の指定弁護士は時折メモをとり、書面に見入るなど今後の方針について熟考しているようにみえる》

 《大善裁判長は池田元秘書が小沢被告に対し、問題の土地代の支出を17年分の収支報告書に計上することを報告し、了承を得たことが記載されているという供述調書「甲115」について「採用」とした理由を述べる》

 《検察官役の指定弁護士の冒頭陳述によると、池田元秘書の説明に、小沢被告は「ああ、そうか。分かった」といって了承したとされる。指定弁護士にとって有利となる証拠だ》

 裁判長「池田は甲115の記載について『いずれも事実と異なる』ものであるとしている。弁護人は、池田が自らの弁護人宛に作成した手紙をその裏付けとするが、この手紙は22年2月4日に作成されたものと認められ、約2週間も前の××検事(法廷では実名)の取り調べに言及したものというのには疑問が残る」
検事がメモを廃棄…適正な調書作成「裏付けない」、[小沢被告 第14回]

 「また、池田は連日のように弁護人の接見を受けており、訂正してもらえない調書の署名に応じた理由は明かでない」

 「任意性には疑いがなく、特信性を肯定すべきものと認められる」
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この調書採用の意味はとてつもなく大きい。それは他の調書の大半が不採用となった中での、採用だからであります。つまり、供述の信用性に疑いをさしはさむ余地なしとされたわけであります。

そして、この調書には、「池田元秘書が小沢被告に対し、問題の土地代の支出を17年分の収支報告書に計上することを報告し、了承を得たことが記載されている」からであります。

このことだけをもってしても、政治資金収支報告書への小沢の直接的関与を裏付ける直接証拠となるのでありますが、さらにメディアでは取り上げられていないけれども、この事実を決定的に補強する重要な証言があるのであります。

 指定弁護士「誰かから『お前がやれ』と言われたのではないですか」

 証人「そのように小沢先生から言われ、そういう立場になりました」

 《大久保元秘書は会計責任者に就任した後、盛岡に異動する。だが、会計責任者の立場は継続していた。続いて指定弁護士は、この点を尋ねていく》

 指定弁護士「盛岡の方に異動していますね。いつのことですか」

 証人「平成17年ごろだったと思います」

 指定弁護士「先ほど、あなたは慣例として陸山会の会計責任者は、東京事務所の責任者が務めるとおっしゃいましたね。どうして盛岡に行った後も継続していたのですか」

 証人「厳密なものではなかったと思います。打ち合わせなどで、東京に来る機会もありましたし、そのままにしていたのかもしれません」

 《指定弁護士は盛岡での勤務状況などを質問。その後、再び陸山会の会計責任者の追及に切り替えた》

 指定弁護士「あなたは会計責任者になって、どういう仕事をするようになりましたか」

 証人「全体の(秘書の)まとめ役として、あわせてなったという認識しかありませんでした」

 指定弁護士「政治資金規正法上の重要な立場だとの認識はありましたか」

 証人「詳しく、具体的に真剣に考えたことはありませんでした」

 指定弁護士「法律上の制度との認識については」

 証人「法律で定められているという認識はありましたが…」

 指定弁護士「法律上の権限や義務があることについては?」

 証人「そこまでは詳しく考えていませんでした」
“金庫番”と称された元会計責任者 政治資金規正法「詳しく知ろうと思わなかった」、[小沢被告 第5回]

 指定弁護士「(政治団体が何かに支出した場合は)会計責任者に明細を提出しなければならないが、その認識はあったのか」

 証人「はい。わかりませんでした」

 指定弁護士「すると、明細書や、そういう報告を受けたこともなかったということですか」

 証人「はい。ありませんでした」

 指定弁護士「もし、あなたが法律上の制度に則っていない行為をした場合、他の秘書らに迷惑をかけることになるということは考えなかったのですか」

 証人「そういうことがあると全く考えていなかった。会計責任者ではありましたが、会計全体は、個人事務所の担当がきちんとやっていると、ずっと思っていました」

 指定弁護士「収支報告書を提出していることは知っていましたか」

 証人「はい。その時期になると、実務を担当する秘書が作成し、提出していると思っていました」

 《収支報告書には会計責任者が署名、押印する宣誓書が添付されている。指定弁護士はこの点を追及する》

 《指定弁護士は平成17年3月31日付の収支報告書に添付された宣誓書を大久保元秘書に示す。そこには大久保元秘書の署名とともに印も押されている》

 指定弁護士「見たことはありますか」

 証人「ありません」

 指定弁護士「こういうものが存在することは知っていましたか」

 証人「具体的には知りませんでした」

 《大久保元秘書は指定弁護士の追及を否定し続ける》
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会計責任者であった大久保元秘書の証言であります。

大久保は、会計責任者に任命されながら、名ばかりの責任者であって、石川、池田の報告もなにも受けてはいなかったとの証言であります。

もちろん、この証言にあるとおりに大久保を任命した小沢に対して、大久保がその責任を果たしているかどうか、あるいは、その名ばかりの責任者であるとの認識の有無を問うことは無意味であり、また当然のように小沢がこれを否定することは明らかであります。

しかし、ここに裁判官は着目するのであります。

「実質的会計責任者」は一体誰であるのか?

石川でありましょうか?池田でありましょうか?

いえいえ、法律的に、任命されたものがその職責を果たさない場合、その責任は任命権者にある。すなわち、その実質的会計責任者とは小沢をおいて他の誰でもないのであります。

そしてこれを強力に裏付けることになったのが、今回の証拠採用となった池田調書だったのであります。

すなわち、「共同正犯」の成立であります。

では、虚偽記載の認定はどうなるのか?

もちろんこれは弁護側の主張のとおり、土地代金支払の期ずれは適法とされるかもしれないのでありますが、万一これが認められたとしても、次なる難関が待ちうけているのであります。つまりその支払の資金の収支をあわせるため、関連団体からのウソの借入が記載されているのであります。これだけで虚偽記載成立であり、弁護側の会計専門家として証言した筑波大学教授もここまではふれていないのであります。

さらに、前年度の4億円と4億円、合わせて8億円。このいずれかの4億円の記載漏れも、まったくもって弁護側は十分に説明できてはいないのであります。預かり金との主張に、銀行返済との記載で、これまたつじつまがあわなくなってしまっているのであります。

これはいよいよ、判決が、楽しみであります。

石川裁判のときもそうでありましたが、またしても小沢シンパの「推認」判決批判はやむことはないのでありましょうか。 KAI