知の爆発−−直感を疎かにしてはいけない(8)

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またまた、とんでもない論文が、発表されたのであります。

これは、間違いなくノーベル賞級の論文なのでありますが、2008年、南部陽一郎博士のノーベル賞受賞とまったく同じように、その理論の正しさが証明されるまでには、はたしてあと何年もの歳月を要することになるのでありましょうか。今回は、このあたりの問題を考察することにするのであります。

と言うことで、その画期的論文とは、こちらであります。

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司主任研究員とカリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの物理学者と数学者からなる研究グループは双方の分野の連携により、一般相対性理論から導き出される重力の基礎となる時空が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを具体的な計算を用いて解明しました。本研究成果は、一般相対性理論と量子力学を統一する究極の統一理論の構築に大きく貢献するものです。本成果の重要性とともに論文内容が他分野の研究者に伝わるよう平易に記述されていた点が評価され、アメリカ物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌(Physical Review Letters)の注目論文(Editors’ Suggestion)に選ばれました。論文は近く掲載が予定されています。
量子もつれが時空を形成する仕組みを解明--重力を含む究極の統一理論への新しい視点--
このあたりの話題にまったく興味のない方はもちろんなのでありますが、こういった問題を世間が評価するのは、例えばノーベル賞の受賞であるとかでありまして、いまこの段階でこれを理解するなどと言うのは、まさにちんぷんかんぷんな世界なのであります。

これをあえて、このKAI_REPORTで、「直感的」に理解することによって、この論文の将来のノーベル賞受賞の可能性について、考察したいと、つまりはそう言うことなのであります。

さっそく、この論文のポイントについてであります。

それは、上記引用にありますところの「量子もつれ」とはなにかであります。これについても、先のリンク先にありますので、再度引用させていただくのであります。

(注2) 量子もつれ(量子エンタングルメント)アインシュタインらが1930年代に行った思考実験に端を発する概念。アインシュタイン自身は、量子力学の問題点を指摘するために考え出したものであるが、その後実験でも確認され、最近盛んに研究されている量子情報や量子計算の理論(注6参照)で基本となる考え方である。19世紀までのいわゆる古典物理の世界では、物理的状態に関する情報は、個々の自由度(たとえば粒子の位置や速度)に分解して理解することができた。しかし、量子力学の世界では、物理的状態を分解して理解することができないことがある。たとえば、遠く離れた2つの粒子に関して、一方の粒子についての観測が、もう一方の粒子の観測結果に影響を与えることがある。これを量子もつれと呼ぶ。
量子もつれが時空を形成する仕組みを解明--重力を含む究極の統一理論への新しい視点--
これまたややこしい説明ではありますが、直感的に解説いたしますならば、時間と3次元空間の中に存在する物質には、さまざまな物理的性質があるのでありますが、その性質である状態を量子レベルと言うミクロな状態で観測すると、ミクロな世界では必ず存在すると言うペアとなる物質同士の間には、その位置関係によらず、必ず反対の物理的性質として観測されるのであります。

もっと超簡単に言えば、双子の姉妹の一人が東京駅で見つかったとして、この女性が姉であるならば、大阪で見つかったもう一人の姉妹の女性は、間違いなく妹であると言うのが、量子もつれ理論であります。

はたして、量子もつれのこれがなぜ、いったいぜんたい、この宇宙空間である4次元の時空間を生み出すことができるのか。

KAI的結論を先に申しあげますならば、そもそも双子の量子を生み出したのは、グラスマン数と言う次元であり、グラスマン数こそ量子もつれそのものなのであります。

実は、このグラスマン数の次元については、この本質は鏡像対称性であると考えているのでありますが、これについては、以下のエントリーをご覧いただきたいのであります。

鏡像対称性と繰り込み可能性の関係について
大栗先生の超弦理論入門(講談社)が面白い
ここで、この鏡像対称性を、あらためてイメージしていただきたいのであります。鏡像対称性とは、鏡の現象であります。すなわち、鏡が存在しなければ決して現れない現象であります。

そうです、鏡こそ、4次元時空間の象徴であるのであります。

つまり、量子もつれが4次元宇宙を生み出しているとは、量子もつれ現象こそが4次元宇宙空間の存在と同値であると言うことなのであります。

では、なぜこれが、証明されたのか。

これを説明するのが、先ほど引用したホームページにある、以下の記述であります。

赤い点は一般相対性理論の時空における局所データを表す。本研究では青い半球で表される量子もつれによってこれを計算する方程式を導いた。
量子もつれが時空を形成する仕組みを解明--重力を含む究極の統一理論への新しい視点--
な、なんと、すでに観測されている、一般相対性理論における観測データを、これもまた観測されている量子もつれのデータで説明することに成功したと言うことであります。

そうです、実験で証明されるまで50年もの歳月を要した南部陽一郎博士のノーベル賞受賞とは、まったく違うのであります。

すでに実験的検証を終えている二つのデータの間の法則的関係性を、理論的に証明したのであります。

これは、間違いなく、今年のノーベル賞候補であります。

今朝からしばらく、興奮がやまないKAIなのであります。 KAI